だはんこき
2010.12.21
カテゴリ：その他ブログ
だはんこき
ある凍てつく冬の深夜、母が布団の中で泣いていた。
父と大げんかして、たたかれて、一人で泣いていた。
1〜２年生だった私が小学校から帰って来て、
店（江別のくすり屋）で父と忙しく働く母に
だはんこいたからだった。
（北海道弁で「だだをこねる」の意味）
札幌でやっていた雪祭りに連れて行ってくれと
私がせがんだからだっだ。
私も布団の中で泣いていた。
雪祭りに行けなかった悲しさからではなく、
母が泣いていた悲しさからだ。
繁盛していた店の仕事から抜け出し、
母も雪祭りを見に行きたかったのだろうか？
いや、雪祭りの雪像よりも、
それを見てはしゃぐ幼い私を見たかったのだろうか？
今月初め８３歳で逝ってしまった母に、
もう５０年も前のあの悲しい夜のことは、確かめようもない。
年老いても、よく孫を雪祭りに連れて行ってくれた母に、
もうお礼を言うこともできない。
（たまき矯正歯科 院長 玉木弘孝）
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